issue 3
鬼怒川金谷ホテル創業者のジョン・カナヤこと金谷鮮治は、鬼怒川渓谷の自然とその四季のうつろいを深く愛しました。その想いは、ジョンに、「鬼怒川に至上の〝渓谷の別荘〟を」という夢を抱かせます。後年、当ホテルが開業し、ジョンの夢は現実のものとなりました。
鬼怒川六橋の最上流にかかる鬼怒岩橋のたもとには、渓流のすぐ傍を歩くことのできる大滝河川遊歩道があります。あまりアップダウンもなく歩きやすい自然道は、鬼怒川のエメラルドグリーンの水面と、清涼なせせらぎを身近に感じることのできる恰好の散策コース。
水辺のウッドデッキをそぞろ歩けば、春は山桜、初夏はやわらかく光り輝く新緑、秋は燃えるような紅楓と山々の錦繍、冬は静寂につつまれた雪木立が出迎えてくれるでしょう。初夏にはあざやかな黄色のキンラン、秋にはあでやかな紫色のホテイアオイなど、めずらしい水辺の花々もみられることでしょう。
渓谷の奥まで歩くと、さきほどまでの滝音が遠ざかり、ふいに静寂につつまれます。涼やかなせせらぎに耳を澄まし、豊かにふくらんだ紺碧の水面をぼんやり眺めてすごしたり。視線をあげれば、空には悠々と舞うトンビのおおきな翼。カモやバンなどの四季の水鳥たちや、電光石火で水中の小岩魚をとるカワセミのすがたも。釣人たちの姿を眺めるのも風情がありますね。
都会の喧騒をはなれ、ゆったりと流れる時を感じながら、鬼怒川のきよらかな自然に、心も雪(すす)がれてゆきます。
龍王峡まで足をのばすと、おだやかな風光は一転して、荒々しくも雄壮な鬼怒川渓谷の魅力が全身に染みわたってきます。
龍王峡は、龍神が創造したとも伝えられる深山の渓谷。白龍峡、青龍峡、紫龍峡と、エメラルド色の清流にみがかれて純白に輝く岩肌が、まるで巨大な龍の鱗のように色彩を変えながらつづいてゆきます。
那須火山帯の最南端に位置する鬼怒川流域は、花崗岩や第三紀流紋岩の厚い堆積層があります。
鬼が鑿で削ったような荒々しい巨岩は、水に濡れると白、翠、紅紫と色彩を複雑に変えながら魅了します。それらは、まさに、大自然が創造したアート作品。かめ穴と呼ばれるユーモラスな奇岩や、右岸と左岸で岩が紅白にわかれる不思議な光景。岩崖から噴出する滝が虹をかける虹見の滝や、天女が楽音を奏でたという竪琴の滝など、幽玄としかいいようのない自然美がくりひろげられてゆくのです。
龍王峡の、四季をつうじて変化する雄大な美のパノラマを堪能したあとは、ぜひ鬼怒川金谷ホテルの温泉へ。水辺の楽しい一日を想いおこしながら、熱い湯にゆったりはいるひとときは格別。鬼怒川金谷ホテルにある数々の銘石の湯槽は、岩と清流が奏でる鬼怒川の自然美へのオマージュでもあり、自然との一体感をさらに深く味わっていただけるでしょう。
2018年10月掲載
鬼怒川の一番上流に掛かる鬼怒岩橋から上滝河川公園まで、鬼怒川河川沿い約1キロの遊歩道。川の流れを間近に感じながら、のんびりと散策を楽しめます。途中には大滝公園があり、天気が良いと鶏頂山などの山々を見渡すことも。鬼怒岩橋のたもとには無料駐車場もあるので、気軽に自然とふれあえるスポットとして人気があります。
栃木県日光市鬼怒川温泉滝 [ホテルより車で約5分]
鬼怒川・川治エリア随一の景勝地と名高い龍王峡は、龍がのたうつ姿を思わせる大迫力の景観が約3kmに渡って続きます。 巨岩・奇岩と清流が織りなす渓谷美は圧巻。渓流沿いにはハイキングコースも整備。豊穣な自然と時間に懐かれる散策は爽快の一言。心と体を奥底から癒してリフレッシュさせてくれます。
栃木県日光市藤原1357 [ホテルより車で約15分]
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