issue 4
世界で日本人ほど、洋食といわれて“ビーフシチュー”を想いうかべる国民もいません。ハンバーグ、ナポリタンなどとともに、ビーフシチューは日本人の心身に根づいた洋食。「和敬洋讃」を旨とする金谷流懐石料理でも、「和風ビーフシチュー」は永らく愛され、看板メニューにもなっています。
鬼怒川金谷ホテルの和風ビーフシチューは、多くのお客様が夜の懐石料理のメインディッシュにご所望になります。80食分の大鍋に地元栃木産の安全で新鮮な野菜をじっくり炒め、料理長入魂の特製デミグラスソースとフォンドボー、ワインなどを加えてからは、その水分だけで三日間以上煮込みます。隠し味には、八丁味噌とたまり醤油。
ビーフにはブランド牛のとちぎ和牛を一鍋に対し10キログラム使用。これを圧力鍋で約一日半かけて炊きます。和牛はモモ肉やランプ肉ではなく、あえてバラ肉を使用。料理長はじめ調理人達の試行錯誤の末、とちぎ和牛の上質な脂により、「和風ビーフシチュー」の野菜やソースの旨味が格段に増しました。
これは、有名料亭やホテルの和食部門で長年腕をふるってきた料理長が、伝統和食でいう「煮方」で身につけたノウハウ。懐石料理の肉の角煮などがそうですが、料理法次第ではかえってバラ肉のほうが、肉もやわらかく、コクも旨味も豊穣になるのです。
一般的なビーフシチューは味も脂も濃厚でしつこい印象が。ところが、「和風ビーフシチュー」のお味は、トロトロに溶けきった野菜と和牛の脂が絶妙にマリアージュして、極上のなめらかさ。これがビーフシチュー?と頭に疑問符がうかぶほど、あっさりと上品でやさしい味わいが舌のうえで温かくとろけて体に沁みわたります。塩分をぎりぎりまで抑え、素材や出汁のコクと旨味を目一杯ひきだしてあるから。もちろん、煮込まれたお肉は適度な食感をのこしつつ、お箸でちぎれるくらい、ほろほろのやわらかさです。
見た目も、通常のブラウン一色のシチューではなく、懐石の和美をとりいれた「和敬洋讃」の精神がつらぬかれています。今回は、日々深まる鬼怒川渓谷の晩秋をモティーフに。和食の伝統と表現技術を活かし、つねに、日本の四季折々の色彩や表情をビーフシチューに織りこんでゆきます。たしかに、この金谷流ビーフシチューなら、温泉であたたまったお体にもヘルシーですし、懐石のメインとしても申し分ありません。
「和風ビーフシチュー」にワインをあわせるなら、ロバート・パーカー氏も絶賛したカリフォルニア・ワインの銘酒「CALERA(カレラ) ピノ・ノワール」は、いかがでしょう。ミディアムボディの赤ワインは、綺麗な酸味と健やかなティー、深みのある果実のアロマで、「和風ビーフシチュー」にぴったりです。また、「和風ビーフシチュー」には、日本酒もよく合います。当ホテルでは全国的に有名な栃木の銘酒、A地区産山田錦100%使用の地元栃木県大田原市天鷹酒造で醸される「純米大吟醸酒 天鷹 心」をお薦めしております。
2018年12月掲載
厳選した牛ブロック肉をデミグラスソースとフォンドボーでじっくりと煮込み、大根や人参を添えて、隠し味に赤味噌を使用した、和風仕立てのオリジナルビーフシチューです。
ホテルが厳選する金谷セレクトの逸品を、是非ご家庭でご堪能ください
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